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【オフセットとオンデマンドの違いについて】

2023.11.08技術紹介

オフセット印刷とオンデマンド印刷は、それぞれ異なる特徴と利点を持っています。

サンライズでは同人誌の表紙と本文でそれぞれ好きな印刷方法を選ぶことができます。

同人誌の納期やご予算はもちろんですが、仕上がりの特徴もご考慮の上、どちらを選ばれるかご検討ください。

安定的なクオリティと量産が強みのオフセット印刷

オフセット印刷の長所⭕️:
1.高品質: 長年同人誌で使われてきたオフセット印刷は色の再現性や詳細な画像表現に優れており、特に大量の印刷物に適しています。
サンライズではアートコート系用紙のカラー印刷にて原則FMスクリーン(700線相当)を採用しており、濁りのないシャープな印刷を行なえます。具体的にはオレンジやグリーンなど、2色の掛け合わせで構成される色で濁りのない美しい色再現が実現できます。
また単色の場合にもFMスクリーンを使用するとモアレが起こりにくいというメリットもあります。

2.コスト効率: 大量生産においては、オフセット印刷がより経済的です。印刷する枚数が多いほど、個々の印刷物のコストが低くなります。

3.UV印刷: 同人誌の世界では短納期が求められがちのため、サンライズではフルカラー印刷機は瞬間硬化のUV印刷機を使用しています。即時乾燥によって乾燥待ちの時間が不要で早く次工程に進むことができます。

オフセット印刷の短所✖️:
1.プリプレス: オフセット印刷は、プリプレス工程が必要です。版の作成や調整に時間と手間がかかるため、急ぎの場合や小ロットの印刷には適していません。

2.乾燥時間: 油性インキの場合は印刷物の乾燥に時間が必要です。使用する紙によって乾燥時間は異なります。生乾きで次工程に進んだ場合、裏写りや擦れ汚れが起きたり、PP加工の場合はフィルムが剥がれるトラブルにも繋がります。サンライズでは色刷りや本文印刷は油性インキを使用しています。

3. 最小注文数量:小規模なプリントランや個別のカスタマイズが必要な場合には、コスト効率が低下するため、オフセット印刷は最小ロットを100部に設定しております。


*単色印刷におけるオフセット印刷の優位性
オフセット印刷はインキを選んで機械にセットして印刷するため、単色印刷には強みがあります。日本を代表するインキメーカー『大日本インキ』がリリースしているカラーガイドの色の種類は1,300以上あり、コーポレートカラーやロゴデザインなどの決まった色を再現するにはインキを調合して作るのが最も確実です。
この色インキを使用して、サンライズでも多くの多色刷り同人誌セットを提供しています。

また、オフセット印刷以外にもシルク印刷などが同じようにインキの調合で色を作ります(絵の具のように色を混ぜ合わせて作るイメージです)。
これらの印刷方法では蛍光色やメタリックカラー、彩度の高い透けるような薄い色などの印刷を行うことができます。
対するオンデマンド印刷機は基本CMYKの4色で印刷されるため、カラー印刷の専用機として作られています。ピンク、オレンジ、グリーン、パープルといった中間色の単色表現はCMYKトナーの着弾部分の面積比で擬似色を構成することになります。

オンデマンド印刷では色インキを使った色刷りという概念はなく、単色表現は前述の通り4色カラーでの擬似色再現となるため、料金はフルカラー印刷と同じ設定となり、色再現も色インキとは異なる仕上がりになります。

進化が止まらないオンデマンド印刷

オンデマンド印刷の長所⭕️:
1. 圧倒的に短納期: オンデマンド印刷では、プリプレスが不要のため直ちに必要な数量だけを印刷することができます。インキの乾燥時間も必要ありません。素早く印刷して必要な時に届けることができるため、緊急の印刷物にも適しています。

2. 小ロットなのに低価格:近年同人誌は小ロット化が進みましたが、小ロットでも版や予備紙といった無駄がないのでコストを抑えられ、単価を下げるためにたくさんの在庫を抱える必要もありません。少しだけ豪華な同人誌を作りたいとき、高価な特殊紙も(印刷適性が良ければ)オフセット印刷とは比較にならないほど印刷代金を安く抑えて利用することができます。

3. カスタマイズ性: オンデマンド印刷は、個々の印刷物にカスタマイズを加えることが容易です。同人誌ではあまりありませんが印刷物にナンバリングを入れるなどのバリアブル印刷が可能だったり、個別のデータやデザイン要素を追加することがしやすいため、個人や小規模な需要にも適しています。

4. 試し刷りが簡単:出力が1枚単位で簡単にできるので試し刷りがすぐにできます。コストも抑えられますので紙上での確認を行ってから本発注に進めていただくとより安心して本を発行していただけます。

オンデマンド印刷の短所✖️:
1.印刷コスト: 小ロット向けの印刷方法のため、印刷部数が多くなればなるほど単価がオフセットよりも高くなる場合があります。オンデマンド印刷は云わばプリンター出力のため1枚1枚に固定のカウンター料金がかかります。オフセット印刷の場合は、版さえ作ってしまえば後は何枚印刷しても同じなので、ロットが上がるとオンデマンド印刷のコスト効率は低下します。

2. 品質面での劣勢: オンデマンド印刷は色の再現性や印刷の細部において、オフセット印刷に劣ることがあります。例えば同人誌の本文でよく使用されるグラデーションや低濃度の網点などでは、まだオフセット印刷に一日の長があります。ですが品質は年々改善されており、更なる向上が期待されます。

3.苦手な紙がある:オンデマンド印刷機のトナーは粉なので、凹凸のある紙に綺麗に色を乗せるのが苦手です。オンデマンド印刷は表面が平滑な紙が適しています。


*オンデマンド印刷での5色カラー
サンライズでは、原稿作成がデジタルに移行した現在、よりモニターでの見た目に近い色を再現するため、CMYK+蛍光ピンクの5色で印刷できる機種を2020年より採用しています。
蛍光ピンクを補色することでピンクはもちろんのこと、赤系中間色のオレンジ、パープルも格段に鮮やかな色で再現できるようになりました。
特に同人誌の人物の肌色表現において蛍光ピンクは品質向上のため重視しています。
オンデマンドフルカラー印刷のメニューはお客様がお好みで選んでいただけるよう、蛍光ピンクを加えた5色カラーとCMYKのみの4色カラーを設定しています。

*透過しにくいオンデマンド印刷
オフセット印刷はあまり遮蔽性が高くありません。100%のベタ部分であっても、白インキなどのオペークインキでも、透けているため紙の地色の影響を受けてしまいます。
オンデマンド印刷であればその影響は比較的少なく、白インキの濃さは特に際立ちます。
濃色系の紙にカラー印刷、なんてことができるのもオンデマンド印刷のトナーの遮蔽性があってこそです。